ゴルフショップについて思う

実際、実験心理学(従って、又一般に心理学)が、生理学――それは生物個体[#「個体」に傍点]に関する理論である――にその物質的基礎を求めなければならない以上、その意識の概念は個人的意識[#「個人的意識」に傍点]である外はない。――だがこの点は、謂わば哲学的心理学[#「哲学的心理学」に傍点](F・ブレンターノの『経験心理学』やナトルプの『一般心理学』)・現象学・哲学(「先験心理学」其他)などに於ても、今まで少しも変る処はないのである。哲学的心理学や現象学乃至哲学などに於ける「意識」は、――最も特徴ある場合を採るとして――それが如何に「純粋意識」(フィヒテ、フッセルル)であろうと「意識一般」(カント)であろうと、要するに個人のもつ意識(それは個人意識とか経験的意識とか呼ばれる)から蒸溜されたものであって、個人の意識の外に横たわるにも拘らず依然として個人的意識[#「意識」に傍点]の概念に依っていることを免れない。
 哲学者――実は観念論者――は好んで意識の超個人性[#「超個人性」に傍点]を又は超意識性[#「超意識性」に傍点]をさえ主張するが、そうした主張は、自分が観念論者乃至超観念論的観念論者であることを証拠立てているまでであって、却って皮肉にも意識概念の個人性を、個人主義的[#「個人主義的」に傍点]見解を、暴露しているに過ぎない。

 かくて哲学と云わず科学(今は特に心理学)と云わず、従来、観念論の組織の上に立ち又は之と友誼関係を結んでいる諸体系にとって、意識とは個人的意識[#「個人的意識」に傍点]の謂だったのである。意識は全く意識主義的[#「意識主義的」に傍点]に、個人主義的[#「個人主義的」に傍点]に、だがそれは結局観念論的[#「観念論的」に傍点]に、しか取り扱われなかった(以上の意識の概念に就いては、第六章に詳しい)。

AJICOの噂

脱走計画のことで、最初に僕を元気づけたものは、この扉のすぐ左側の壁の、その一番下のところに三寸四方ほどの四角い穴が切ってあることだった。これは空気抜けの穴でもあったし、また室内を水で洗浄するとき、その水の捌け口でもあった。この穴に手首を入れてみると、楽に入った。しかし腕の附け根まで入れてみても、手首は腕金にはとうてい届かない距離にあった。その距離は約二尺だった。もう二尺だけ手が長ければ腕金の錘りにとどいて腕金を起こすことができるのだが、人間の手がこの上二尺も長かったら、それは化物である。
 しかし兎に角、問題は二尺の距離だった。もし二尺ばかりの棒切れが手許にありさえすれば、こいつを手に握って腕金の錘りにまで届かせることができるのだった。だが監禁室にはそんな棒切れは厳禁になっている。いや棒切れどころか、硬いものは釘一本|小楊子一本でも許されないのだ。――遂にこの計画は実行ができないのであろうか。
 ところが人間の知恵なんて恐ろしいもので、僕はとうとう二尺ばかりの棒切れを手に入れることができたのだった。といって監守を買収したのではない。だれの厄介にもならずに僕一人で二尺の棒切れを作りあげたのだった。
 そういうと、僕がまるで手品でも使ったように聞えるが、――そうだ、これはやはり手品のうちかも知れない。とにかく僕は考えるところがあって、母親のところへ使を立て、腹をこわしているので朝と昼とはうどんを差入れてくれるように頼んでもらった。すると返事があって、監守が伝えた。
「オイ北川、悦んでいいぞ、これから朝昼二食はうどんを取ってやる。但しいつも一杯だけだぞ」
 それから僕は二食をうどんにし、夕方だけ飯を食べた。本当は、別に腹をこわしているわけでもなく外に思わくがあったのだった。うどんを食べるには、必ず杉の割箸がついてくるが、僕は食べ終ると、これをポキンと二つに折って丼の中へ投げ込み、下げてもらった。が、実はそこに種があるのだった。

愛と青春の旅だちの噂

だから、うっかりしたことは言えない」
「博士、それは、ほんとうですか。私は、博士のおっしゃる火星のスパイを、見たことがありませんが……」
「今も言うとおり、お前などの目には見えないのだ。わしにも見えない。しかし、わしはそれを知っている。火星人は、わしの声の特徴をよくしらべている。わしが声を出すと、非常に精巧な検音受信機で、わしのしゃべることを向こうで録音してしまうらしい。何しろ火星人の智力と来たら、人間よりもすぐれているのだから、始末がわるい。わしは火星人に、自分のしゃべることをけっして聞かれないために、苦心の結果、この防音室をつくった」
 と、博士はまわりのかべを指さしながら、
「これだけ厚い金属のかべでとりかこみ、そうして、音も電気も磁気も、それから放射能も全然さえぎるような仕掛をつけてある。だから、多分この中では、何をしゃべり、何を考えても、火星人に知れることはないだろう」
 聞けば聞くほど、火星人の智力というものはおそろしい。
「何しろ、わしがこの前、火星からこっちへかえった当時から、火星人はわしの身のまわりを大警戒しているのだ。それはつまり、わしが火星の秘密を地球人類につたえて、火星を攻める準備をするのじゃないかと、うたがっているのだ。しかし正直な話が、地球人はとても火星人をうち破る智力を持っていない」
 博士は残念そうに言った。
「だが、わしは火星兵団のことについては、いち早く地球人に知らせておいた。地球人は、それに発憤して、何か新発明の兵器でもつくるかしらんと思ったが、やっぱり智力が足りなかった。わしは、どうせそんなことじゃろうと思い、火星人には、絶対に気がつかれないように注意を払いつつ、或る研究をつづけていたのだ。その研究は、やっと完成した。

住宅ローン審査落ちる

RxRxHxの噂

はじめ白人看護婦を指して右の人さし指を一本たて、こんどは梨花を指して左の人さし指を一本立てた。そしてそれを向かいあわせにもってきて、ぴょこぴょこさげ、両方の指がしきりにお辞儀をしているような型をやって見せた。
 梨花は、顔をあげて、杉田二等水兵の指芝居をながめている。白人看護婦の方は、腕ぐみをしたまま、ちらと見て、
(わかっているよ、わかっているよ)
 と、頤をしゃくってみせた。
 杉田二等水兵は、尚仲直りをさせようとして、自分の両手をがっちり握りあわせて、しきりに上下にふってみせた。
「梨花、さっきお前がたのみにいった硝子屋は、まだ来ないじゃないか」
 そういった白人看護婦の話から察すると、梨花はもうかなり前にこの窓硝子を破ったものらしかった。硝子屋に至急壊れた窓硝子を入れかえるように命じてあるものらしい。
「じゃ。もう一度、さいそくしてまいりましょうか」
「そうおし。早くなおしておいてくれなければ、あたしがドクトルに叱られちまうじゃないの」
 梨花が、かしこまって、扉から出ようとした時、この扉の外からノックの音があった。
 白人看護婦は、はっと胸をおさえて扉の方を向いた。
 と扉があいて入ってきたのは、大きな硝子板を抱えた中国人の硝子屋だった。
「まあびっくりした。硝子屋かい。ずいぶん前にたのんだのに、来るのが遅いねえ」
「へえへえどうも相すみません。すぐに入れかえますよ、美しいお嬢さま」
 美しいお嬢さまと呼ばれて、看護婦はまあ――とうれしそうに眼を天井につりあげる。
 とたんに、がしゃんと大きな音。

住宅ローン審査 通らない

テキサスバーガーについて

懸声もろとも、杉田がけしとんだかと思うと、そうではなく、どたーんと大きな物音がして、酒壜もろとも卓子をひっくりかえしてしまったのはジャックの巨体だった。まるで爆撃機のプロペラーが廻ったように、もんどりうって、その卓子の上に叩きつけられたのだ。
 と、大男はうなった。それまではよかったけれど、これを見て驚いたのは、室内の乱暴な白人の手下ども五六人だ。やがてわれにかえると親分の一大事とばかり、どっと杉田にとびかかってきた。
 こうなっては仕方がない。杉田も立派な帝国軍人だ。侮辱をうけて黙っていられない。腕に覚の柔道で、とびこんでくるやつを腰車にかけてなげとばし、つづいて拳固をつきだす奴の手を逆にとって背負いなげにと、阿修羅のように力戦奮闘した。が、いくら強いといってもこちらは一人、相手は大勢の命しらずの乱暴者だ。杉田はとうとう大勢に組み伏せられた上、手錠をはめられてしまった。そして傍の鉄の柱に、胴中をぐるぐる巻にされた。
「さあどうだ。よくもひどい目にあわせたな。もう手むかい出来めえ。さあ、こうしておいて、いやでも川上という士官の秘密をしゃべらせ、団長へ売りつけるんだ。はっはっはっ、手前は福の神だよ。福の神が、そんな食いつきそうな顔をするなよ」
 ジャックはにくにくしげにいい放って、いまは自由のきかない杉田二等水兵の顔をぴしりぴしりとひっぱたいた。

misako